▪️会期:3月20日(木) - 26日(水)
▪️会場:Artglorieux gallery (GINZA SIX 5階)
黒木美都子 Kuroki Mitsuko *1991年 東京生まれ
*2016年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了
*FACE展2015損保ジャパン日本興亜美術賞展審査員特別賞受賞
【主な展覧会】
2024年 個展「天使のような獣たち」(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)個展『愛についてのエトセトラ」(あべのハルカス近鉄本店 / 大阪)
2023年 アートフェア東京2023(東京国際フォーラム/東京)*「黒紅 黒木美都子×丁子紅子」(八犬堂ギャラリー / 東京)
2022年『The Sixth Sense」(あべのハルカス近鉄本店 / 大阪、Dorothy Circus Gallery / イギリス)*「水鏡をのぞく時」(東武百貨店池袋店 / 東京)
*個展「至善至美-KALOKAGATHIA-」(北京当代潮流芸術画廊42ArtSpace / 中国) 他、個展多数、グループ展やアートフェアにも多数参加
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思考するファタル
S30 (91.0×91.0cm) / 水干、白土、岩絵具、モデリングペースト、アルミ箔
『獅身の女たち』の始まり
「獅身女」には本来、スフィンクスという熟字訓を当てますが、私の描く『獅身の女』は文字通りに“ししんのおんな”と読んでいただければと思います。本展は、『獅身の女』は「美にして善なるもの」という人間完成の理想を追求し具体化する為のメタファーと考え、作品群として発表することでその在り方に焦点を当てた個展です。
スフィンクスは最古の半人半獣のひとつで、美しい人間の女の顔に獅子の体と鷲の翼、時に蛇の尻尾を持つとされています。象徴主義の絵画の中では、その姿の解釈は作者それぞれでしたが、多くは美しい半人半獣の女スフィンクスが男を誘惑し、その誘惑は死を意味しました。男を破滅へと誘うファムファタルとして好まれ、官能的な作品が多く描かれていたのです。
しかし今、新しい時代にスフィンクス=獅身女という題材を描くことに、一体私は何を期待しているのでしょうか。
私の「獅身女」は美しい顔と美しい鉱物の身体を携えています。世俗から遠く離れた美しい面相は、従来の破滅や死といった終焉を予見させる心理的サディズムな“含み”とは無縁であり、無機的存在が大半を占めるその身体は、古典絵画の中で望まれてきた艶めかしい快楽の象徴から脱し、性の支配を超越した身体なのです。
そしてそれは普遍性を内包した、新たな美のシンボルと言えるでしょう。
今のところ善美の具体化は未聞でありますが、その片鱗を掴む依り代として「獅身女」はとても肌なじみが良いものでした。私が望むのは美しく堅牢な精神を備えた、崇高であり美の象徴、それが『獅身の女』なのです。
黒木美都子